5 月 28 日 キャンプ最終日
テントの中で、まだ暗いうちから鳥たちの鳴く声が聞こえ始めます。最初は 1、2 羽程度のさえずりが、次第にてんでばらばらなメロディが加わって、日が昇る頃には大合唱に。美しいハーモニーとはいかないのはやはり、それぞれの鳥がそれぞれのペースで勝手に歌っているから。
早いうちからテントから起き出し、早々に寝袋をしまっておっさんは朝食の準備。今日は残り少ないガスを心置きなく使ってチキンラーメン + ミネストローネ(料理をした気分を味わうためか? どうしても混ぜてみたいらしい) を合わせて作った辛いヌードルスープと、お湯でもどすペペロンチーノ(マカロニ)。おっさんはテントの外にレジャー・シートを敷いて朝食をとったけれど、起きてみてあまりの寒さに私はテントに逆戻り。下半身を寝袋に突っ込んだまま怠惰な朝ごはん。
その後、おっさんのエア・マットが濡れていることが発覚。「どうりで、夜寒かった」とか。↓ テントの屋根で干しています。
こんなすごいとこにテントを張っていたなんて、最終日になるまでまったく気づかなかった・・・。
撤収作業中に、銀マットの下やらテントの床にも水が溜まっていることが発覚。しばらく日に当てて乾かしてから出発することに。しかしなかなか乾かないので、今回使用しなかった日帰り温泉用白タオルを雑巾代わりにして拭いた。雑巾みたいなものも持ってきた方がいいのかも。
なんやかんやでいろいろありましたが、再び大きく膨れ上がったリュックを背負って出発。今日も通りすがりのおばさんに「どこ登られるの?」と目を輝かして質問されました。「いえ、そこらへんを歩き回っていただけです・・・」と恥ずかしながら答える。やっぱり、涸沢カールくらい登って来なければならなかったかなぁ・・・。
この日の天気はとにかく素晴らしくて、雨の中を歩いたときにはまったく見ることができなかった山々が青空にくっきり。違う道みたい。
夏に父たちと来たときには、待ち行列ができるほど混み合っていたのに、今日はほとんど貸し切り状態。
小屋前の池で泳いでいる岩魚
塩焼きと燻製を食べ比べて見た。その場で食するならだんぜん塩焼きがおいしい。でも、次回のキャンプのときには、燻製をお持ち帰りにしてテントで食べるとちょっと贅沢な気分が味わえていいかも。なんて話しつつ。
連なる山は、どれがどれだかやっぱりよくわからない。昨年縦走してきたおっさんは、あーでもない、こーでもないと推理していましたが・・・。
歩いているうちに、お腹に差し込みが来る。妙に張っている感じ。ニュージーランド行きの飛行機に長時間乗っていたときにもおんなじような感じになったけれど、気圧が低いからなのかな・・・。 上高地ではお店に売っているポテトチップの袋などがぱんぱんに膨らんでいるけれど、ちょうどあんな風に私のお腹も膨張してしまっているような (3 日間平気だったのにいまさら感はあるけれど)・・・。しかめ面で歩く様子を見かねたおっさんにリュックを取り上げられる。しかし、夫にでかいリュックを 2 つも持たせて、空身で歩くなんて、どういう鬼嫁なんだー? しかも増えてきた観光客がすれ違いざま「怪我でもしているの?」という視線を送ってくることにいたたまれず・・・。「返してー」とお願いするも聞く耳を持たずにさっさと先を歩いて行ってしまうおっさん。ターミナル近くで強引に言ってようやく返してもらった。
河童橋でちょっとだけ休憩し、お腹の痛みも和らいだので、初キャンプの打ち上げとして予約したちょっと贅沢なお宿のある沢渡に早めに入ることにした。おっさんが Web で見つけた宿近くの湿原に行って見たいとのことで。
上高地バスターミナルから、沢渡駐車場行きバスで終点まで。お世話になる沢渡温泉の「しおり絵」さんで荷物を預けて、池尻湿原へ。
伸び放題の草に覆われた、人っ子ひとりいないこぢんまりした湿原をあっという間に一回りしてしまい、これはわざわざ来るほどのものではないかも・・・(水芭蕉が咲いている頃ならともかく) と思いながら遊歩道の終わりにたどりつくと、
ミツガシワが。しかも結構な群生。(伸び放題の雑草と思いきや!)
しかもなんとなく素敵っぽい写真も撮れたよ。これを見て新たなパワー・スポットと勘違いした森ガールが池尻湿原を目指さないかな。
野いちご。ウェッジウッドのワイルドストロベリーのカップと一緒だ。
とにかくこれで山歩きは終了。あとは打ち上げ。
テント泊とバスを利用して浮いた分、ちょっといいお宿に泊ろう!とおっさんが頑張って探してくれた甲斐あって、「しおり絵」さんはとてもホスピタリティに溢れた、至れり尽くせりのお宿でした。おかみさんも従業員さんもとても感じが良いし、早速入らせてもらった温泉は時間帯で貸し切りにしてゆっくり利用できるし (しっかり 2 日間の汚れを落としてから入浴しました、もちろん)、アメニティもあるといいなと思うものが全部ある。(自分で入れられる轢きたてのコーヒー、沢渡のおいしい水、コーヒーメーカーのセットまである!)
何よりの売りは会席料理で
見た目が可愛いだけでなく味も最高でした。おかみさんはじめみなさんこまめに立ち働いて、出来立ての料理を温かく一番おいしい状態で出していただけます。
信州サーモンは長野県で開発された新種の魚。宿のお庭の池で飼っているとか。
すべて満喫して、はちきれそうなお腹でお部屋に戻ると、
キャンドルライトに照らされたガトーショコラが。(素敵な演出でした。)
調子に乗って、おかみさん手作りのガトーショコラ付きのコースを予約したのでした。そういえば、冷たい雨に濡れてフリーズドライを啜りながら、「これが終わったらガトー・ショコラが食べられる」と自分を励ました夜もあったよね・・・。
これはもう食べるしかないですね。
しかしこれ以上は無理、との予想に反して、おいしくいただけてしまった。胃もたれもまったくしなかった。翌朝、おかみさんに残されていたらお包みしますよと声をかけていただいたのだけれど、きれいさっぱり食べてしまいました。私たちって底なしの胃袋 ― いや、ケーキがおいしいから・・・。
寝る前にもう 1 回温泉に入って・・・と思ったのだけれど、くたびれてお腹いっぱいで、用意されていたふかふかのお布団に横になるとあとはもうスイッチが切れるように意識を失い、気持ちよーく爆睡。
牛乳やさんがコーヒー牛乳を届けに来ていた。お手紙がしわくちゃになっちゃったのは、いったん一緒くたに取り出してから、写真を撮るためにもう一度セッティングしなおしたから。
そうして自然と格闘した日々と、一転して最後は甘やかされっぱなしの初キャンプの旅が無事終了。東京に帰ります。