家族旅行から帰ってきた 7 月 31 日に、おっさんが「夏休みとれたから、今度の水曜の夜から白馬に縦走に行くか?」と聞いてきた。私はあまり深く考えずに「うん」と返事していた。それからわずか 4 日後の 8 月 4 日夜、私たちは白馬を目指す夜行列車に乗り込んでいた。
こういう場合、考える時間があればあるほど山登りにまつわる煩わしいことが思い浮かんで「やっぱりやめとく」ということになりがちなのだけれども、勢いで「うん」と応えてからまるでジェットコースターに乗ったかのように急速に物事が進んでいってしまったのであんまり余計なことを考えたり心配したりする余裕がなかった。結果的には、こういうめったにできないチャレンジができて良かったのかな・・・。
8 月 4 日
夜 23 時 新宿発白馬行きのムーンライト信州で出発
夜行列車はしんどい。一晩中走り続ける電車の中で、固い電車の座席に座ったまま、結局眠れない。山旅に出かける場合便利なのでうちのおっさんなんか大好きみたいだけれども、私は神経質なのでやっぱり好きになれません・・・。
8 月 5 日
白馬駅に到着。栂池自然園を目指します。
リュックとハシモトは 2 年前におっさんと一緒に同じコースを縦走しているんだよね。
ロープウェーのガイドさんによると、この日はひさしぶりに視界が良好で遠くの山まで見えたという。
しかーし、かんかん照りの夏山の日差しは噛みつくよう。水をがぶ飲み。汗だくだく。途中水場があり、冷水をサーモスのボトルに補給できたのはありがたかった。サーモスは最近購入したのだけれど、前夜に家で詰めた氷が半日以上溶けずにボトル内に残っており、炎天下でとりわけ冷たい水を飲むことができてとても良かったです。
さすが白馬は花の山として名高いだけあり、自分のつたない知識にある限りの花がすべて見られたような気がする。
天狗原は湿原。この辺りまでは、小学生のちびっこたちが元気に駆け回っていた。
森のアイドル、オコジョです。こんなにはっきり見たのは初めて。 足元をちょこまかと走り回っているのに気付き、大慌てでカメラを向けて、偶然にもベストショットを撮影できました。ついてるわ~。近くを歩いていたお嬢さんに写真を見せると、「テラカワユス」とほめてくださった(しょこたん???)。
しかしここからが本番と言えるでしょう。
花や景色を堪能しつつ呑気に歩いていると、常駐救助隊の男性に声を掛けられた。私たちはなんと、白馬山荘を目指す登山者の最後尾にいるらしい。自分ってそんなに遅いんだ!とショックを受けてしまう。やっぱり日ごろの運動不足がたたっているのかな。
夏山は午後から天候が変わりやすく、雷の恐れもあるのでもう少し早くから登り始めないと駄目ですよ、とアドバイスいただいた。彼は山頂まで、私たちをサポートしてくださり、高山病対策として水や食事をしっかりとることや、小屋ではすぐに睡眠しないで 2 時間ぐらい起きておくこと、呼吸が苦しいときにゆっくり小股で確実に登ってゆく方法なども教えてくれた。
白馬山頂までは 5 つのだましピークがある。(ついに頂上!と思うとその先が現れることの繰り返し。)それを 1 つ 1 つ、かたつむりのような足取りで越えてゆく。呼吸が重く足が思うように動かない。やはり 3000 メートル級(正確には 2932 m ですが・・・) の山はちがうなー。
山頂で常駐警備隊員さんと別れ、そこから白馬山荘までは下り道。やっとたどりついた山荘では、やっぱり最後のお客さんになってしまった。本格登山に挑む人たちはみんなそれなりに身体を鍛えているものなのだな。軽い気持ちでやって来たことをすこし反省。翌日からのルートもかなりの長時間、アップダウンの険しい道が続くという。山荘のスタッフの方にも懸念を示されてしまう。しかしおっさんも、私がこれほどまで歩けないとは思っていなかったんだろうなー。
この反省を基に、翌日は予定より 1 時間早く起きて出発することにした。
白馬山荘の夕食はトンカツ。食事の最中、窓ガラスを夕陽が赤く染め始める。
雲に捲かれたり晴れたりを繰り返す。間近に黒々とした雄姿を見せているのは旭岳らしい。
こういう非日常的にダイナミックな景色が見られると、辛くてもここまでやって来てよかったと思う。
白馬山荘には素敵なカフェ「スカイ・ラウンジ」があるのです。
山頂でこんな洒落たケーキが食べられるなんて感激!
おっさんが個室を予約してくれていたので、部屋でゆっくり就寝する。
翌日は雲倉岳経由で朝日小屋を目指します。